吉原(大分県日田市)

日田市コミュニティバス,古バス停,壁型,民家型


有名な都市伝説で「犬鳴村」という話があります。
こんな話。(いや、イマドキのネットは楽だね!!)
ネットもなかった時代から伝わっていたから相当のもの。
「あの旧道だけはヤバイ」と言い合っているうちに悲惨な殺人事件が起き、ゲートのようなものができて半封鎖されてしまいました。

・・・で、大昔自分は某Z社でバイトをしていました。住宅地図最大手のあの会社です。
5年間もの間、いろんな場所を巡ったものでした。
まだバイトして間もない頃に、家5軒くらいの分け入った山奥の村にお邪魔したとき、住人にこんな話をされたのです。
「この辺の人は畑がここにあるけん、家は倉庫にしちょる人ばっかよ。普段は下に住んどる」

そのうち同僚が、この犬鳴の旧道からしか行けない集落に赴くことになりました。我々の世界ではそういう山奥の村は、そういうもんだとわかっています。
同僚は普通に仕事を遂行して、帰って来ました。人っ気はなかったそう。あそこもそういう村なんだな、という結論に。

ちょうどその時期、別の友人と飲んでいて、なぜか犬鳴村の話に。
「友達が行ったらしいんだよね。建物あるのに人っ気がなくて・・・そしたら斧持ったおっさんに追っかけられたらしいよ!!」
怖がる振りをして聞いていましたが、農作業中のおじさんに当たったな、おじさん辟易してるだろうな・・・と思いましたとさ。

・・・長々と関係ない場所の話を延々としたけれど、このバス停はちょっと怖かった。
ここは6軒くらいの集落なんだけど、本当に人っ気がないのだ。この集落の前後を含めて。

というか、この道自体本当に鬱蒼としたロケーションが延々続いて、不安にしかならない。
バス停が貼ってある家の荒れ果てっぷりが、いっそう不安感を増す。

何より怖いのが、田畑が見当たらない。いや、目に入らないってのが正しくて、たぶん斜面上の方角に耕作地があるんだろうけれど。それも余計に恐ろしく感じる。

日田バス式の標識が唯一残る旧中津江村のバス停。
ネットで調べる限り、昭和末期にはもう村営転換したとのこと。
バス停の名前も変わっているのに、この標識は昭和から時を止めたまま。

車を発進させるまでついぞ、人の気配はまったく感じなかった。
この恐怖も、尾ひれがついたら都市伝説に変わるかもなあ。そう心の中で納得しましたとさ。