日田バス

今年も女王は不機嫌だった。
早すぎたのだ。

彼女の一番の見ごろはいつなのだろう。おそらく今週末か。
すまない、その日当たりはバンドが忙しいんだ。
だけれど、うまく都合がつく人が写真を撮ってくれるかもしれない。
そして、ぼくなんかよりもっと写真をとるのが上手い人がいるだろう。

道路工事の看板が無粋に立っていた。拡幅工事が行われるのかもしれない。
彼女が消える前に、この山の中にひっそりと佇む美しいお嬢様の姿をとどめておきたいと思う。

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日田バス

女王さまはご機嫌斜めだった。
ちょっと時間を許した隙に、桜は散っていた。

彼女のシャッターチャンスは年に一度。
彼女はいずれ、道路の拡幅で取り壊される運命にあったりする。
道路の拡幅工事はいつはじまるか、それはわからない。

だけれど遅く来たごほうびに、空は青く、桜の色は映えていた。

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