日田バス,民家型,軒下吊り下げ


塚田の続き。

温泉に入って、とりあえず帰路に着くことにはした。
五馬線に沿って帰ろう、新しい発見があるかもしれないなんてちょっと考えた。
確かに、再探訪の際路線表の見落としが発覚することはある。
この日の温泉への往路、実は「中園」というバス停の見落としが発覚、真新しい標柱が立ってしまっていたのだ。もっともそのバス停は村で最大の雑貨店のまん前で、標識ゼロ・時刻表のみ雑貨店の軒先に掲載だったという可能性も否定できないから、まあすっぱい葡萄だったと思うさね。ふてた顔で。

さて復路。五馬線は主要地方道・天ヶ瀬阿蘇線を通るのだが、所々が2車線に改良済み。
三日月湖のような旧道の入り口付近にバス停が配置されている。奥に行くことはないだろう。

そんな旧道の入口にある「ゲートボール場前」バス停。
旧道の出口部分はさほど離れていなくて、目視できる距離で再合流しているのがわかる。
ふと、野生の勘が働いた。
向こうに見える森は下り斜面のようだ。地形的にもあの旧道にはそう大きな集落はなさそう、今までそう判断してきた。しかし本当に、第六感的なひらめきでそこを曲がった瞬間・・・

・・・が、上の写真。

「ゲートボール場前」からは100メートルあるかないかの距離。
わざわざこのバス停のために、バスがここに入り込む必然性。
その軒先型とも壁型ともつかないフォルム。

考えれば考えるほど赤瀬川原平の考現学のような考察が頭をよぎってしまう。いやー、大発見をしてしまった。

日田バス,壁型,民家型

自分は凄いずぼらな人間なもので、地図とか路線表とか、そういうちゃんとした資料があるなら持って行けばいいのに。それをしないから人生でも失敗ばっかなのよ!!あなたが与するのはいつもぽしゃるのよ!!なんとか党も大勝するのよ!!・・・あ、これは、高速道路無料公約がこのバス停趣味的にまったくよろしくないゆえの発言であることを表明しておきます。田舎のバス停、ガチでやばい。

話を戻して。
家に帰って、持ち出し損ねた地図や路線表を眺めると、「えーっ、あそこの間にバス停!?」ってなことが多い。天瀬温泉のメインストリートはバス通りなんだけど、路線表にはバス停が2つ。・・・駅しか覚えてないぞ?

この「ずぼら」はたいてい大発見を生む。
大概「見つけにくいバス停」である確率が大だから。

極上の壁バス停だった。
幾多のバス停で風情をそいでいた、丸ゴシック体のラミネート紙標識すらない素の旧式壁プレート。
ごちそうさまでした。

小松屋は温泉旅館でした。

日田バス,軒下吊り下げ


軒先型のバス停は絶滅寸前なんだけれども、院内町の「月の俣」のように、取り外しがめんどいから放置してるような例もあった。

このバス停の路線はいつかはわからないけれど、大分前に廃止になっています。草の入江という集落まで伸びていたようで、終点のあった場所には待合所が別用途で使われ、そのまま残っていました。

おれ愛用の15年前の道路地図にはこの路線が載っていて、ひょっとしたら路線跡みたいなものがあるかも?と一縷の望みをかけてアタックしたのです。
・・・結果は大吉と出た。って言うか驚いた。

見事な軒先型です。
訪問時間、夕方の6~7時。
はい、期待してなかったんです。本当に驚いた。

 

西鉄バス・福岡市内,民家型

大分に写真撮りに行ったりするとき、たまに地域住民から「そんなにこんなバス停珍しいんですか?」と聞かれることがある。
「ええ!!珍しいですよ!!日本じゃほとんど絶滅寸前です!!」
とはきはき答えてたりするんですが、
「少なくとも福岡にはありません!!」
と一度答えたことがあります。

ごめん、あれ嘘だった。

このバス停、凄い狭いとこにあるんですよ。
昔は確か標柱が立ってたんだけど、西鉄バスのあれってほら、物凄くでっかいじゃない。
割と車通りも多くて、結構邪魔だったのよね。家もみっしり建ってたし。
10年位前だったと思うけど、バス停リニューアルしたときこうなったんだった。
あの時はずいぶん思い切ったことしたなあと思った。

いやー、西鉄のバス停部品で壁バス停作ると、本当になんか違和感あるね!!

立ってる標柱は、並走するコミュニティバスのもの。
昔はそこにも家が建っていたはず。
ちょっとリニューアルの時期がずれてたら、この壁バス停は生まれなかったのか・・・。

日田バス,民家型

バス停の写真を撮るとき、その路線がまず乗ることが叶いそうにない路線だったりすると、当然のごとくバス停を「探しに行く」という作業が重要で。

そこで活躍するのが「一昔前の」(※重要!!)道路地図。
大分県を巡回するときに自分が使ってるのは平成6~7年度の人文社のもので、国東半島めぐりの際は「ハア?そんな路線なんてもうねーよボケ!!」的肩透かしをそりゃもう何度もさせられた。

九州のバス時刻表」という便利なサイトがあります。このページは地図に表示されたバス停をクリックすると、時刻やら運賃やらが九州じゅうどこでも検索できる、みたいな優れものサイトなんですが、この地図の元データというのが「提供:昭文社」。いわゆる書店で売ってる安心の道路地図ブランド、マップルですね。
最新の大分県マップルなんですが、実はこのバス停は入っていないんですな。

九州のバス時刻表」より。

書籍だとこんな感じ。「塚田」は入ってない。

サイトでは、「ん?日田バスの資料では『塚田』ないよなあ・・・この間にあるみたいだし、この真ん中に入れちゃえ」って感じで無造作に真ん中に置いてあるわけです。

自分も実は、ここの路線はそうなっているものだと思っていて、この塚田バス停の存在も知りませんでした。バス停には路線表や「次のバス停」もないし。しかし、前々から気にはなってたんですよねえ。なんで地形的にあんな大きい集落の内に入らずに、沢の根元のところで曲がっていくか。沢の根元のところにバス停を置くにしては、ちょっと奥の集落の人々の使いにくいとこにバス停あるし・・・。
「古賀橋」はあまり人気を感じない場所に、「古賀」は沢の根元から、別の沢の方にちょっと登ったところにあって、向かい側の大集落の人はとても使いづらかろう。しかし、実際この古賀と古賀橋の間は路線的には一本道に見えるわけですよ。お互いが見えるし。あー、次のバス停あそこと誰もが思うでしょう。

そこでその、古い地図を投入。古い地図なのに1000円近くした。

・・・!!!!!
そう、奥の集落にバス停があるらしいことがわかりました。
そもそも自分が何故こんな場所に興味を持って、バス停を発見して歓喜したかというと。
そこの集落には200円では入れる天瀬温泉の源泉を使った温泉センターがあるからです。
たまに腱鞘炎やらがひどくなると、ここに入りに行くことにしているくらいです。

早速、温泉センターを通過し、集落の真ん中に突進していくことに。
すると・・・。

発見まで、おそらく2年かかったこのバス停。
2年前も今も、来るのは一日1往復。

そして見つけた感想は
 「こりゃマップルも見逃すわな」。

ところでつい先週、またこの温泉に訪れました。もうこの辺のバスの写真は全部撮りつくしたわい、などと豪語していた自分だったのですが・・・(※引き)

大分交通・大交北部バス,壁型,民家型


耶馬渓地区、現中津市エリアで、今のところ多分唯一発見できた壁バス停。
旧式看板まで完備、かなり貴重です。

道がおっそろしく狭いためか離合ポイントも作られていたりします。バス停の前の道路幅員がちょっと膨らんでいます。
この離合ポイントってのは、「バス路線の遺構」として残るもんでして・・・いつか、柳川の谷垣新開に写真を撮りに行くかのう。あの辺は非常にわかりやすい。

この路線(相ノ原線)はバス停の宝庫でした。素晴らしい。

日田バス,軒下吊り下げ


在りし日の軒先型バス停。
今年はじめくらいにどうも標柱が立ち、軒先のものは撤去された模様。

この軒先の置かれ方が実は凶悪で、三叉路にこのバス停は位置していまして。

1やや広い1車線道路
2二車線の改修済み道路
3林道のような1車線の小道

が交差する場所。バス停は2に面する角度に置かれていたんですね。

こんな感じです。

・・・で、ここのバスは実は1→3ないし3→1の経路を通ります。
正直、ここに探訪を始めて3~4回目に初めて気づきました。こんなんわかるか!!

日田バス,民家型


これは民家をそのまま撮ったわけではなく、まごう事なきバス停の写真です。

家の方は留守だったのですが、隣の方に色々お話を伺うことができました。

なんでも道路沿いに玄関があって、バス停も通りに出していた形になっていたのだけれども、家を改築した際に玄関が通りから引っ込んだ。玄関にかけてたバス停は、通りに面してる車庫にでもおいとけばいいものを、大工さんが玄関の奥に取り付けてしまった。集落の人はみんなここがバス停って知ってるから不便とは思わない。

・・・だそうで、おそらく道路地図がなければこのバス停は絶対に誰も気づかんでしょう。
窓の白い四角は当然時刻表です。

大分交通・大交北部バス,軒下吊り下げ

 取り外し失敗?

ちょっと行ったところに、この道が沿う沢の向こう側への集落へ続く橋がかかっていて、ここはその道への分岐点。
バス停の名前はその向こう側の集落の名前です。

今はその向こう側のほうに改修済みの県道が延びていて、こっちは寂れた旧道。

 

日田バス,軒下吊り下げ

 軒先型バス停。
日田バスも、実はここ何年かで標柱に入れ替える作業をしているらしく。いくつかの写真に納めたバス停が標柱になったりしている。
いや、この軒先型バス停って見つけにくいのよ!!
今日出かけた先でも、標柱になって始めてバス停を発見。「あー、あの店の軒先、ぶら下がってたのか!!」と地団太を踏んだばっかし。

このバス停は見つけやすい部類ですが、後々わかりにくい凄いのが登場することでしょう。
谷というか高原を縫うようにして走る、細い県道沿いの小さな集落のバス停。