このダムは、なんの役に立つんだろうか。下流の広々と広がる農地のためになるんだろうな。
自分はエコロジストでも思想家でもなんでもなく、その是非については全く興味はないんだが、ともかくダム堤防の工事、付近の付け替え道路の道路工 事、工事、工事。その騒音の真下、おそらくかつて集落があったところに立ち並ぶ工事事務所のプレハブ群のすぐ近くに、引き払うのはおそらく最後ということ であろう古めかしい平屋建ての保育園がありました。
保育園の庭の横には工事用の防護フェンスがあり、たくさんの動物の絵が並んでいて工事関係者の粋な計らいを見ることが出来ました。しかし、その風 景もおそらくその工事が終わればその保育園もいっしょに、水の底。このバス停からちょっといったところにある古い石造りアーチ橋(現役道路、しかもバス通 り!)も、もちろん一緒に。
そんなことを考えるとまたこの文章の冒頭に書いた「このダムは、なんの役に立つんだろう?」という思いがよぎったりするのですが、まあそこまでの 有象無象を水底に飲み込んでおいて、何の役にも立たないものを人間が作るわけないじゃないですか、と信じてあげようじゃないですか。性善説と取るか、皮肉 と取るかはご自由に。